口腔の広さと舌の動き

本日、東北地方からの女性客のご来店があった。
 
・歯列の狭さ⇒歯による舌の動き・発語の阻害
 
が気になるとのお話。
舌の動き・発語のサポートに携わるお仕事をされていて、
ご自分の体も気になったとのこと。

東京まではるばるのご来店で恐縮であったので、
より気持ち慎重に対応させて頂いた。

第一手として、首の横突間筋・椎間関節をリリースした。
頭蓋骨の部分的なゆがみに合わせて、
頭蓋骨全体がバランスをとり左右非対称に歪むことがあるが、
首の横突間筋・椎間関節をリリースすると頭蓋骨全体のこの全体的な
ゆがみを打ち消して、部分的な手ごわいゆがみをむきだしにしてくれると
最近の臨床で強く実感したところである。

接してお話を聞いていたところ、
声の小ささ、呼吸の浅さが気になりだしたので、
SPO2(経皮的動脈血酸素飽和度)を計測したところ、
表示で「94」と出た。
(ムラマサ評価で100点中40点。
ちなみに、90を下回ると呼吸不全で
救急車での搬送が推奨されるようなレベル)

これでは大変に息苦しかろうと思い、
第二手として、肋骨の拡張に関係するノド・肩回りを調整。
やせ形のスマートな方だが、
胸郭が大きく膨らんで呼吸とともに大きく動くように変わり、
計測数値が「96~98

(ムラマサ評価で100点中60点~80点)
を行き来するようにした。


第三手で頭蓋骨全体⇒歯を矯正。
歯の一本一本のこわばりを取り、
上あごと下あごの骨が柔軟性を失っていたのを取り戻しつつ
口腔内の広さを拡張。
(顎の骨はセメントのように硬いものではなく、
 わずかながら確実にしなる柔軟性を持っている。
  調整すれば形も変わる)
加えて、口腔内の筋肉など軟部組織が、
著しく強張っていたので、そこも若干力を強くして調整。

最後のステップはたいへん痛そうだったが、
東北地方からだと次のご来店の機会を得るのが難しいので、
無理を申して頑張って耐えて頂いた。
 
上記の矯正ステップを踏んだら、
元々かぼそかったお客様の発語が、
聞いている私の脳髄にズシっと残る重いものに質が変わった。

ご本人にも明確に変わった体感があるようで、
遠方からはるばる新幹線で来た甲斐があったとたいへん喜んで下さった。

お喜び頂けて大変良かったのだが、
喜んで頂けたポイントは問題が解決されたことだけではなかったと仰る。

ご本人はご自身の歯列のゆがみに明確な強い問題を感じていたそうだが、
それを数名の歯科医の方の相談しても、
「多少ゆがみがあるかもしれないが、大したものじゃない。
 問題と呼べるほどものではない」と取り合ってもらえなかったそうだ。

その部分を、私が明確な問題として認識して取り組んでもらえ、
加えて気づかなかった周辺的な問題まで対応してくれたことがとても嬉しい、
ということだった。

実は、歯の悩みを持っている方にそういう声を頂いたのは過去に2-3回ある。
(偶然だが、同じく東北地方出身の方だった)

確かにパッと見でわかるゆがみではないので、
私のねちっこい性格がこういうシーンでは
役に立つんだなとまんざらでもない気分である。
家族・友人間であまりこの部分を出すと嫌われてしまいやすいので(笑)